カナダ木造建築物・建材視察ツアー2005参加報告
文責:沼川次郎
(社団法人日本ツーバイフォー建築協会 技術部長)
|
BCウッドのジムさんから「カナダ住宅・建材視察ツアー 2005」の報告文を書くよう要請されました。たぶんに私事的な内容となると思いますが、楽しかったツアーの報告をさせていただきます。
 |
|
集合写真 ウィスラーの公園にて
|
 |
|
森林伐採現場へ出発!
|
私は(社)日本ツーバイフォー建築協会に所属し、ツーバイフォー及びツーバイフォーによる木造耐火構造の普及推進を行っております。COFIと当協会が共同で耐火構造認定を取得し、木造(枠組壁工法)による耐火構造建築物の建設が可能となって1年が経過した頃、このツアーの案内を知りました。今年度のツアーは、4階建ての住宅や共同住宅、3階以上の商業施設やホテル等の特殊建築物、更には高齢者向け施設等ツーバイフォーで建てられた大型木造建築物が実際に見られ、かつ工事中の建築現場見学、製材工場や森林伐採の現場ツアーと盛りだくさんで、しかも私の現在の仕事にピッタリ重なる内容であることを知り、是非にもと思い立ち、ツーバイフォーに関る仕事を長年やっておりながら本場のカナダは一度も訪れたことが無いため、このチャンスを絶対に生かそうと参加させていただきました。
参加メンバーは、住宅会社、工務店、設計事務所、エクステリアや木工の会社、ランバーや木材の商社、木材埠頭会社等BCウッドに関るチョッと気(木)になる多彩なメンバーの方々です。主催者として大変お世話をいただいたBCウッドのジムさん、大橋さん、COFI・SPFプログラムのケビンさん始め現地参加の北海道新聞社ポートランド支局長の枝川さんを含め総勢30名という大人数でした。北海道から参加の6名の皆様が天候の影響で成田出発に間に合わず3日目のバンクーバーで合流するというハプニングもありました。私自身もツアー参加申込み後に、たまたまツアー前週に米国での業務が発生し、ツアーの皆様とはバンクーバーで合流し最後は又ウィスラーで別れるという変則的な参加となりました。
木材の伐採現場、製材・合板工場、ランバー・資材会社、建築現場、更にはフォーリンテック・カナダ(カナダ林産研究所)まで訪問。カナダ木材の川上から川下まで視察でき、我々木材に関わる仕事をするものにとって大変貴重で意義のあるツアーでありました。
 |
|
4階建て共同住宅建築現場
|
|
|
|
ホテルの屋根裏(ウィスラー)
|
日本ではまだ存在しない木造4階建ホテル(営業中)の建物の小屋裏を見学、巨大な木造ネイルプレートトラスを組合わせた小屋組みを確認した。建物規模が大きいため、防火区画の壁を小屋裏から屋根まで達せさせ、基準内に収まるよう面積区画をしているとのことで、今後の日本での建設実現に夢が持てる見学であった。
BCウッド・グローバル バイヤーズ ミッション(BCウッド建築建材国際展示会)では、ウィスラーのコンベンションセンターにBCウッドカナダから構造材、建具、キャビネット、パッケージ住宅等、80社余の建材業者がブースを出展、各国(日本、韓国、中国、ヨーロッパ各国、アメリカ、メキシコ等)のカナダ大使館・総領事館とBCウッドの出先機関が組んでそれぞれツアーを組み、この日に合せて集結、商談と交流を図る展示会が開催された。
規模はそれ程大きくはないが、カナダ人はもとより、カナダ国籍で各国に駐在し営業業務を行っている人、出展各社に雇用され出身国との業務に関わる人等様々な人が集い、商談を行っていた。ここで親密な関係が築かれ、お互いの商売に繋がる様子がうかがえた。
オプショナルツアーのウィスラー散策では、ツアー参加者と出展者および他の関係者が抽選にて決められたテーブルにて昼食。同じテーブルに座った者同士がチームを組みオリンピックゲーム形式の散策を行う。封筒に入った指示書に従い行動、指示された地点で写真を撮ったり、得点ゲームをしたり、指定の施設や買物ショップで指定の行動を行い次の指示を受ける等で結果としてウィスラーの街を散策することになる。我がツアーのA様夫妻のチームが金メダル、私のチームは銀メダルを獲得。老若男女が言葉も通じないところで助け合う楽しい国際ゲームでありました。
まとめ(感想)として、最も強く感じたのは、カナダの木材関係者の間で、地球環境や自然保護の考え方が至るところで出てくることである。以前からもその傾向はあったが、建築現場において見る資材はエンジニアードウッド(床根太は各種のIジョイスト、スタッドはフィンガー材、梁や柱は集成材、LVL、パララム等、合板はOSB)が殆んどで、製材された木材そのものというものは非常に少ない。伐採現場で見た木材は径が30cm前後で、以前に写真等でイメージしていた何人かで幹を囲むというような大木は1本も無かった。30cm前後に育つのも100年かかる、伐採現場に植林をするようになってまだ数十年しか経っておらず、現状の伐採は全て自然林であるという森林の現状に接してチョッとしたショックであった。木材産出国・輸出国であるアメリカ、カナダがエンジニアードウッドを使い、輸入国である日本は製材品を多用している現状は、逆のような気がする。研究機関においては、古新聞、木の皮やおが屑まで利用した部材開発が進められていた。また、パイン材の80%に寄生が予測されているマウンテン・パイン・ビートル問題においても、ブルーステイン材の受け入れを必至とした対応が必要と考える。JASグレードでしばっていると木材が輸入できなくなる。我々住宅・木材の関係者は、日本の消費者に向けて木材資源の現状や有効活用する考え方をPRし、受け入れられる状況を作り出さねばならないと思う。
日本で枠組壁工法による木造耐火が可能となって1年余、本格的に普及するには設計者の養成が必要である。日本のRCや鉄骨構造デザインのまま木造耐火建築の設計を行ってはその良さが発揮できない。今回、カナダにおける4階建集合住宅の建物を見学、ビル建築のイメージが全く無いデザインに触れ、先進カナダのデザイン・設計を勉強する研修ツアーを活発に行い、最初は物真似でもよいから導入し、それを日本化してゆくことが必要と感じた。日本のツーバイフォー導入期においても、それまでの日本の住宅の形をツーバイフォーでやろうとしたがあまり普及せず、洋風デザインを積極的に取り入れることで普及した歴史がある。今では他の工法にもそのデザインが及んでいる。毎年行われる本ツアーはじめ関係者の改めての企画に期待したいと思います。
カナダと日本を比べると、自然に対する考え方がかなり違うと感じた。広大な国家でいつでも身近に自然が感じられるカナダは、自然に対し積極的で、その保護や有効活用にアクティブにトライしている。過去の日本は、存在する自然をそのまま受け入れパッシブに感じる文化を築いてきた。しかし現代社会では、文明に流されかつ平和過ぎ、自然の脅威を感じることが薄れた消費大国となって来た。人口の割りに国家が狭く資源の少ない日本人は、今一度「もったいない」という心を呼び戻す必要があると感じた次第です。
さて、楽しいツアーには余禄がつきもの。参加した皆様にはあり余る話があると思いますが、私の場合、初日、バーノンの夕食の席で、バーノンの位置するオカナガン湖の一帯がカナダでも有数のワインの産地と知った次第ですが、飲んべえの私にとっては避け(酒)られない運命が待っていたのです。私のテーブルには、ワイン学校に新幹線を使って数年通っているというワイン博士のYさんが同席したのです。その日以降ワイン仲間が増え続け、食事中のワイン、食後のワインとワイワイガヤガヤワインワインと素晴らしく楽しいツアーとなったのです。バンクーバーでのサンセットディナークルーズ、ウィスラーでのゴンドラで登った山のレストランで見た満月とワイン。素晴らしかったです。
 |
|
|
森林伐採現場視察の山で食べたランチ(ハンバーガー)も格別の味がしましたね。(勿論ゴミは各自持ち帰りました。)
ツアーを主催した、ジムさん、ケビンさん、大橋さん、通訳の清水さん他関係者の皆様、最後まで細やかなお気遣いいただき有り難うございました。同行した若手の方からは元気な活力を、若干お年を召した方からは経験と知恵の話題をいただいた素晴らしいツアーでした。皆様いつか又どこかで再会しましょう。
日本人より日本のことを理解している変なカナダ人「ジムさん、ケビンさん」に乾杯!